「マンション管理組合」とは、分譲マンションを購入した人(区分所有者)で構成された、そのマンションを管理するための自主管理組織です。
マンションが新築されると、区分所有法という法律に基づき管理組合は自動的に結成され、区分所有者全員が自動的に管理組合のメンバー(組合員と言います)になります。
組合員は、住戸を売却するなどして区分所有者でなくならない限り、管理組合を脱会することはできません。
組合員になれるのは区分所有者だけであり、区分所有者の家族などの同居人や、区分所有者から住戸を借りて住んでいる賃借人は組合員になることはできません。
管理組合を組織する目的は、すべての組合員の大切な共通財産であるマンションを維持管理することです。
マンションには、各区分所有者の固有財産である専有部分(住戸)と、全ての区分所有者(組合員)の共有財産である共用部分があります。
共用部分とは、建物の共用廊下やエレベーター、非常階段、エントランスといった部分、給排水や電気やガス配管などの設備、集会室や駐輪・駐車場、ゴミ置場などの附属施設、さらにマンションの敷地など住戸以外の全ての部分です。
マンション管理組合の主な役割は、これら共用部分を維持管理し、全住民が快適に暮らせるマンションにすることで、マンション全体の価値を維持し高めることにあります。
組合員はその活動を支えるために、管理費や修繕積立金を負担し、管理組合はマンション管理会社と契約を結んで、実際のマンションの管理業務を管理会社に委託したりします。
また、マンション内でのペット飼育やゴミの出し方など、住民が守らなければならないマンション内のルールや、駐車場の使用料金などを決めるのも管理組合の役目となります。
一戸建てと違い共同生活をするマンションには、 「共有財産の保護」と「円滑な暮らし 」のために、区分所有者間で一定のルールが必要です。
そこで1962年に制定されたのが、マンション居住者の基本的な権利と義務、共同管理のルールを定めた 区分所有法(正式には”建物の区分所有等に関する法律”)という法律です。
法律の制定後も時代の流れに伴い発生する諸問題に対応すべく、何回かの改正を経ています。
以前までは、マンション管理に関する法律は「区分所有法」だけでした。
しかし、マンションが一般・大衆化し、都心部を中心にマンションが急増すると、マンション管理を巡る様々なトラブルが多発し、区分所有法だけではとても対応しきれなくなりました。
特に多かったトラブルが、「管理組合と管理会社間のトラブル」です。
区分所有法はいわば「管理組合の運営についての法律」であり、管理会社については何ら規定がありませんでした。
そこで、国は、2001年に、マンションの管理の適正化の推進を図るために、マンション管理業者に厳しい義務づけと罰則を定めた「マンション管理適正化法(正式には“マンションの管理の適正化の推進に関する法律“)」および「マンション管理適正化指針(正式には”マンションの管理の適正化に関する指針“)」を制定・施行しました。
しかし、この法律の最大の特徴は、管理組合(組合員)に対しても「管理組合の努力義務」と「区分所有者の役割義務」をそれぞれ定め、自分たちの財産は自分たちで守るよう、マンション管理の主体性を持つことを強く要望していることです。
そのため、マンションの管理を適正に行うためには、マンション管理会社を良きパートナーにし、管理組合自身も努力義務を誠実に努め、組合員は、役員はもとより管理組合の一員として、管理組合の運営に積極的に参加し、区分所有者としての役割義務を果たすことが必要となりました。
様々なトラブルや問題は住民が無関心では何も解決しない現実を、管理組合(組合員)自身が認識することを、国はこの法律を通じて強く訴えかけたのです。
マンション管理規約は、区分所有法によって規定されている、そのマンションの基本的ルールを定めたマンションの憲法です。
マンション管理規約には、通常「建物の用途・区分」「管理組合の業務内容」「管理組合の運営方法」「管理費・修繕積立金の使途」などが盛り込まれます。
マンション管理規約は、管理組合の総会によって設定、変更および廃止することができます(組合員数および議決権総数の4分の3以上の賛成が必要)。
使用細則は管理規約に基づいて、管理規約を補完するために定めるもので、マンションの利用や生活のルールに係わる内容をきめ細かく、わかりやすく定めるものです。
具体的には、生活全般の使用細則のほか、①専有部分の修繕に関すること、②駐車場、③バイク置場、④自転車置場、⑤ペット飼育、⑥集会室などが考えられます。
使用細則の設定、変更については、通常は総会の普通決議(過半数の賛成が必要)で定めることができますが、規約に抵触する場合や規約の定めによっては特別決議としている場合があります。
多くの住民が一棟の建物を区分して所有しているマンションにおいて、住民が長い間にわたり快適な生活をおくるためには、住民の間でマンションの維持、管理や生活の基本的ルール(管理規約)を定める必要があります。
そのために、国土交通省が管理規約の標準モデルとして作成したのが標準管理規約です。
これは、マンションに対し、標準管理規約への変更を強制しているわけではなく、管理組合がマンションの実態に応じて管理規約を制定、変更する際の参考になるようにと作成されました。